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星野会計事務所 税務ニュースレター No. 97-4 June 27, 1997 このニュースレターは当事務所が独自に選択したトピックをカバーしておりますが、必ずしも細部には及んでおりませんし、当事務所の意見書として意図しておりません事をご了承下さい。 ニュースレター再開のお知らせ 3月15日提出期限の暦年法人税務申告書延長願い、4月15日提出期限の個人所得税申告書、6月15日提出期限の個人所得税申告書及び法人・個人予定納税、などのいわゆる「ビジー・シーズン」のため暫くニュースレターをお休みしていましたが、また再開致します。小規模雇用者従業員・自営業者にとって新たな節税となる医療預金口座(MSA=Medical Savings Account)に関し、IRSがノーティスとルーリングを発表 従業員福祉研究所(Employee Research Institute)の調査結果では、1995年の時点で米国での65歳以下の人口の内17.4%(4千30万人)もの人達が何らの健康保険にも入っておらず、更にニューヨーク市公共擁護の会(New York City Public Advocate)によればニューヨーク市では何と24.8%もの人達が何らの健康保険にも入っていないという恐ろしい結果が出ています。[ニューヨーク・タイムズ97年2月25日号] (注:65歳以上の米国市民は連邦政府のメディケア保険が適用されるため、その人口は皆保険といえる。) 健康保険の問題に関連してはクリントン大統領(というよりもクリントン夫人)が政権発足早々に国民皆保険を掲げたものの頓挫してしまったことがまだ記憶に新しい所ですが、昨96年に議会を通過しクリントン大統領が署名した「健康保険携帯・責任法」(Health Insurance Portability and Accountability Act of 1996)の一部として、医療保険加入を促進させる税務優遇策としてMSAが打ち出されました。 既に今年1月6日付けの当事務所ニュースレターでも紹介しましたが、このMSAの対象となるのは、(1)雇用者により「高額自己負担保険」(high-deductible plan)が用意されている「小規模雇用者(small employer)の従業員」及び(2)高額自己負担保険を掛けている「自営業者」です。自己負担が少ない普通の健康保険の加入者は一般に対象となりませんが、MSAはむしろ健康保険を現在何も用意していない小規模雇用者や自営業者に対し、少なくとも保険料が安い高額自己負担保険への加入促進剤として機能することを意図しています。今年から実効となる個人所得税減税項目の一つであるMSAは、もう米国国民には当たり前の節税策として定着した「個人退職金口座」(IRA=Individual Retirement Arrangement)と同様の取扱いとなる新たな節税策で、これは保険会社・銀行などの金融機関にとってもIRAと同じく巨大な資金源として発展するのが予想されます。このMSAは歳入法220条として条文化されましたが、さまざまな質問に答えるためIRS(内国歳入庁、米国の国税庁)は96年11月に「ノーティス96-53」、今97年4月に「レベニュールーリング97-20」を発表しました。その内容が詳しく説明されていることから、敢えて今回は当事務所によるその全訳を次頁以降に掲載致します。「ワォード対IRS長官」の裁判で連邦地方裁判所裁判長、IRSの権力乱用を痛烈に批判。原告、勝訴したものの「一言多かった」犠牲は大きかった コロラド州デンバーにある連邦地方裁判所は、IRS(内国歳入庁)を相手に争っていた「ワォード対IRS長官」の裁判で、今月初め、被告のIRSは$25万の懲罰的損害賠償、$7万5千の実際損害賠償、更に弁護士費用を原告キャロル・ワォード女史に対して支払えとの判決をしました。 この争いは、原告のワォード女史の息子トリスタン君(当時20歳)が提出した連邦個人所得税申告書に対する1993年に行われた税務調査に端を発しています。申告書ではトリスタン君は子供服の店キッズ・アベニューの所有者であり、母親のワォード女史を扶養家族として扱っていました。ワォード女史は息子トリスタン君の税務調査に一度立ち会い、税務調査官ポーラ・ジィアーザノウスキイー女史との話しが物別れに終わった後に、同調査官に対し、「ねえ、あんたの会計技術を私が見る限りでは、あんたのガチャガチャしている宝石とデカイ髪を振り乱して、テキサス州西部の何処か高速道路にでもある店で鶏のフライ・ステーキでも揚げている方が余程お国のためになってるわよ」("Honey, from what I can see of your accounting skills the country would be better served if you were dishing up chicken fried steak on some Interstate in West Texas, with all the clunky jewelry and big hair.")と言ってしまったとのことである。 さて、それからが大変。ジィアーザノウスキイー調査官は、自分が算出した所得税追徴額$32万4千を連邦政府が徴収するのは極めて困難であるとの「危険査定」(jeopardy assessment)を行い、これにより物別れの話し合いの4週間後にIRS職員がコロラド・スプリングにあったキッズ・アベニュー洋服店3店を奇襲手入れし、店にあった在庫等を没収したばかりでなく、3店とも錠前で閉鎖し尚且つワォード女史があたかも麻薬密売者であるかを匂わす貼り紙をしたのである。所が実際には、この「手入れ」があった3ヶ月後には過去6年間の追徴税に関しIRSは$3,485で合意し解決しているのである。 ワォード女史によれば、彼女の娘ケリーはIRSが残した貼り紙のため家族が麻薬密輸に関係していると他の生徒に思われてしまったため高校中退に追い込まれたし、手入れの時に持ち去られた商品・器具はその後返却されたものの、3分の2は酷く痛んでおり、また、手入れの時には借金がなかったのに、その後$7万5千迄膨れあがったとの事である。 ウィリアム・P・ダウンズ裁判長(Judge William P. Downes)は、判決にあたってIRSの職員ジェームズ・ドラン(James Dolan)が法の執行にあたって「多大に怠慢」(grossly negligent)であり、法を「無謀に無視」(reckless disregard)し、宣誓したにも拘わらず三つの虚偽証言を行った、と厳しく批判したのである。更に、同裁判長は懲罰的損害賠償を与えるのは、「IRSの職員による非難すべき権威の乱用は許すことが出来ないというメッセージを伝える」ためであると、判決文に記した。[ 以上は、ニューヨーク・タイムズ紙1997年6月5日記事をを参照しました。] この判決から日を経たずして、上院議会の席で地元コロラド州選出の共和党ウェイン・アラード上院議員(Senator Wayne Allard)は、上記の裁判を例としてあげ、IRSに与えられた権威はその職員によって乱用される余地があるので、IRSの改革が必要と訴えました。[以上は、タックス・ノーツ・トゥデイ誌1997年6月29日記事を参照しました。]注意:この翻訳は星野会計事務所の私訳であり、 IRS公認の翻訳ではありません。ノーティス96-53 1996 年健康保険携帯・責任法(Health Insurance Portability and Accountability Act of 1996)により、1997年1月1日に開始する試験的プロジェクトのもとで「医療預金口座」(Medical Savings Account,以下MSA)を適格個人が設立できることになる第220条が歳入法につけ加えられることになりました。 このノーティスはMSAについての基本的情報をいくつか提供するものですが、個別の規則を全て網羅して纏めることまでは意図しておりません。 このノーティスは7つの部分に分かれています。第1部はMSAとは何か、また誰が持つことが出来るのかを説明しています。第2部はMSAを如何に設立するかを説明しています。第3部、第4部はMSAへの拠出・MSAからの分配を扱っています。第5部はMSAを適用することの出来る納税者の人数の法的制限に関するものです。第6部はMSAを預かる受託者(trustee)・管財人(custodian)に課せられる情報報告義務、第7部はMSAに関するその他の事項を説明しています。第1部 MSAとは何か、誰が持つことが出来るのか? 質問1: MSAとは何ですか?回答1: MSAとは高額自己負担[訳注:日本の保険用語では「定額控除」と呼ばれているが、自己負担の方が分かり良いと思われるので以下は自己負担とする]の健康保険に伴なう医療費支払いのために設けられた受託者(trustee)・管財人(custodian)預かりによる非課税の口座です。MSAに適用される規則のいくつかは個人退職金口座(IRA=Individual Retirement Arrangements)に適用される規則に類似しています。例えば、MSAはIRAと同様に個々人の恩恵のために設けられたものであり、「携帯できる」(portable)性格のものです。つまり、ある個人がある雇用者の従業員であったのがその後別の雇用者へ転職した、あるいは仕事から離れてしまった場合でもMSAは前の雇用者の所に在り続けるのではなく、その個人について廻ります。然し、MSAはいくつかの重要な面でIRAとは異なっているため、IRAをMSAの代わりに使用する、あるいは、IRAとMSAを一緒にして一つの口座にすることは出来ません。質問2: 誰がMSA口座を持つ資格がありますか?回答2: 以下の2つの種類の個人がMSAを設ける資格があります。(1) その個人(従業員あるいはその配偶者)を保障している個人あるいは家族のための「高額自己負担健康保険」(high-deductible health plan)に掛けている「小規模雇用者」(small employer)の従業員(またはその従業員の配偶者)、あるいは(2) その個人(自営業者あるいはその配偶者)を保障している個人あるいは家族のための「高額自己負担健康保険」(high-deductible health plan)に掛けているその個人(自営業者あるいはその配偶者)。誰がMSAを設けることが出来るかに関する更なる制限については後の回答6、回答7を参照して下さい。質問3: MSAの上で「小規模雇用者」とは如何なる雇用者のことでしょうか?回答3: 過去2暦年の内どちらかの年においてビジネスの平均従業員数が50人以下であれば、当該暦年においてその雇用者は「小規模雇用者」であります。尚、新規の雇用者、税務合算申告をする法人のグループ、従業員を増加した特定の雇用者、については特別の規則が適用されます。歳入法220条(c)(4)を参照して下さい。質問4: MSAに適格になるための「高額自己負担健康保険」とは如何なるものですか?回答4: 「高額自己負担健康保険」とは、(1)個人(本人のみ)を保障する保険の場合、年自己負担額が少なくとも$1,500以上あり$2,250を越えない、あるいは(2)家族(即ち、自分一人以上)を保障する保険の場合、年間自己負担額が少なくとも$3,000以上あり$4,500を越えない保険を指します。更に、保険に伴なう年間のアウトオブポケット費用(out-of-pocket expense) [訳注:全額自己負担の支払いが一定額に達した後、co-insuranceにより暫くの間少額の自己負担が更に続くが、この両方の自己負担合計額を指す]が本人だけを掛けている保険の場合$3,000、家族を掛けている保険の場合$5,500を越えてはなりません。ここでいうアウトオブポケット費用には被保険者がカバーされている疾病のために支払わねばならない自己負担の費用、コーペイメント(co-payments)、その他の支払い額を含みますが、保険料(premium)そのものの支払いは含みません。質問5: 健康維持団体(health maintenance organization, HMO)は高額自己負担健康保険を提供出来るでしょうか?回答5: イエス。高額自己負担健康保険は、保険会社やHMOを含めて色々な団体が提供出来る筈です。質問6: その他にどういう保障があると、個人にとってMSAを開くのが不適格になってしまうのでしょうか?回答6: 次の回答7に説明されている事項を除き、高額自己負担ではない健康保険(メディケアの恩恵受益者も含め)の元で(個人、配偶者、扶養家族が)保障されている場合は、その個人がMSAを設けるのは不適格になってしまいます。また、高額自己負担健康保険であっても、場合によっては不適格になることがあります。質問7: MSAを設けるのが不適格にならない範囲で、保険が保障しても良い内容には何がありますか?回答7: 高額自己負担健康保険を掛けているばかりではなく、(保険で掛けられているか否かに関らず)事故、身体障害、歯科医療、視力保護、長期介護、特定の疾病のための保険、一日(またはその他の期間)当たり固定入院費を支給する保険、を掛けていても、その個人はMSAについては適格であります。また、勤労者補償法(workers' compensation laws)、不法行為(torts)に大部分が基づく負債を保障するための保険、あるいは資産の所有または使用に基づく負債を保障するための保険(例えば自動車保険)が掛けられていても適格です。質問8: MSAはカフェテリア・プランの元でも適用が許されますか?回答8: (回答4で説明しましたように)高額自己負担健康保険をカフェテリア・プランの一部として提供することは可能です。MSAに結びつけて高額自己負担健康保険を使用するのは可能です。然しながら、カフェテリア・プランではMSAへの拠出自体は許されていないため、MSAをカフェテリア・プランの外部に設けねばなりません。カフェテリア・プランの外部であれば、雇用者からMSAへ拠出してもらう、あるいは雇用者により事故または健康の保険を掛けてもらう、のどちらかの選択が従業員に与えられているからといって、その理由だけでその従業員が課税の対象になってしまうということはありません。第2部 如何にしてMSAは創設されますか? 質問9: 適格とされる個人は如何にしてMSAを設けることが出来ますか?回答9: 1997年1月1日以降、丁度個人がIRA口座を適格IRA受託者・管財人の元で設けることとほぼ同様に、(回答2に説明されているように)適格個人はMSA口座を適格MSA受託者・管財人の元で設けることが出来ます。MSAを設けるために、わざわざ内国歳入庁(IRS)から許可を得る必要はありません。質問10: 誰が適格MSA受託者・管財人になれますか?回答10: 保険会社、あるいは銀行(歳入法408条(n)に定義されている銀行と同様の金融期間も含め)がMSA受託者・管財人になることが出来ます。更に、IRSにより既にIRAの受託者・管財人として認められているその他の団体(persons)は、MSAの受託者・管財人としても自動的に認められます。銀行、保険会社、あるいは既にIRA受託者・管財人として認められている団体以外の団体は、(IRAの銀行以外による受託者に関する)財務省施行規則1.408−2条(e)にある手続きに従って受託者・管財人になるための許可を申請することが出来ます。他方、従業員である適格個人は雇用者の関与が全くなくてもMSAを設けることが出来ます。質問11: 個人あるいは小規模雇用者は如何にしてMSAのパイロット・プロジェクトに署名契約あるいは登録出来るのですか?回答11: 個人あるいは小規模雇用者はどちらもMSAのパイロット・プロジェクトに「署名契約」(sign up for)、「申し込み」(apply for)、あるいは「登録」(enroll in)する必要はありません。回答9で説明しましたように、IRSからの許可(permission)あるいは公認(authorization)を待たずして、適格個人あるいは適格小規模雇用者は適格受託者・管財人と契約してMSAを設けることを進めても構いません。(後の第5部、第6部では、議会により課されたMSAへ拠出出来る納税者の人数制限、及び受託者・管財人に課された報告義務についての更に詳しい情報が続きます。)第3部 MSAへの拠出について 質問12: MSAへは誰が拠出出来ますか?回答12: 従業員あるいはその配偶者によって設けられたMSAの場合、その口座名義人(従業員あるいはその配偶者)がMSAへ拠出出来ます。他方、従業員の雇用者も従業員あるいは従業員配偶者のMSAへ拠出することが出来ます。但し、雇用者が従業員のMSAに拠出した年については、そのMSAの口座名義人はその年については自分からの拠出は許されません。(従業員配偶者がその雇用者から拠出を受けてしまった場合にも更に制限が適用されます。歳入法220条(b)(5)(B)を参照して下さい。) 自営業者あるいはその配偶者によって設けられたMSAの場合、その口座名義人(自営業者あるいはその配偶者)がMSAへ拠出出来ます。質問13: MSAへはいくらの金額を拠出できますか?回答13: MSAへの拠出が許されている年間上限額は(1)高額自己負担で本人のみを掛けている場合、自己負担額の65%、(2)高額自己負担で家族を掛けている場合、自己負担額の75%、となっています。この年間拠出上限額は拠出したのが従業員、雇用者、あるいは自営業者であろうと、全てに適用されます。そして、各年について各月月初の身分、適格性、健康保険のカバーする範囲に基づき各月ごとに個別に確定した制限額の合計が年間拠出上限額となります。年間拠出上限額は各月のデータを用いて計算されますが、回答15で説明しました期日内の拠出であれば、何時であっても個人あるいは雇用者はその都合に従って一回あるいはその他複数の回数の拠出が出来ます。 例えば、年間自己負担額が$1,800の高額自己負担健康保険に本人のみを掛けているある個人を仮定してみましょう。この個人の年間拠出限度額は$1,800の65%、即ち$1,170となりますし、毎月の拠出限度額は$97.50(即ち、$1,170割る12)となります。更にこの個人はある年の最初の8ヶ月の間だけが毎月の初めに適格個人であったと仮定してみますと、この個人の年間拠出上限額は$780(即ち、8掛ける$97.50)となります。質問14: どうやってMSAへの拠出をするのですか?回答14: MSAへの拠出は現金でなければなりません。ですから、株券とかその他の資産による拠出は許されません。質問15: 適格個人によるMSAへの拠出についてはどういう税務の取扱いですか?回答15: 適格個人によるMSAへの拠出(回答13に説明がありますように上限額への制限がありますが)は、その個人の[訳者追加:個人所得税税務申告書の上での]調整後所得(adjusted gross income)を算出する際の控除項目扱いとなります。それ故、拠出はその個人が個別の経費控除(itemized deductions)をするか否かに関係なく控除項目となります。但し、従業員あるいはその配偶者が控除出来る金額は、その個人をカバーしている高額自己負担保険のスポンサーとなっている雇用者の元でのその個人の勤労所得の金額を越えることは出来ません。他方、自営業者が控除できる金額については、回答13で説明しました拠出制限に加えて、高額自己負担保険を設けた自営業からの稼得所得(earned income)[訳者注:自営業収入から経費を差し引いたネットの所得]を越えることは出来ません。更に、他の納税者の扶養家族として申告されている個人については、法令はこの控除を一切与えておりません。質問16: 雇用者が適格個人のために行うMSAへの拠出についてはどういう税務の取扱いですか?回答16: 雇用者による適格個人のMSAへの拠出(回答13に説明があります上限額への制限がありますが)は、所得としてその適格個人の総所得(gross income)に含める必要がありませんし、所得税の源泉徴収の対象ともなりませんし、その他の雇用税(例えば、社会保障・メディケア税(FICA)、連邦失業保険税(FUTA)、あるいは鉄道退職金税)の対象ともなりません。質問17: MSAへの拠出から生じる所得についてはどういう税務の取扱いですか?回答17: MSAへの拠出から生じる所得は、MSAから分配金(distribution)がある迄は課税となりません。分配金に関わる課税については回答21を参照して下さい。質問18: ある特定の年について適格個人がMSAへ拠出することの出来る期限日は何時でしょうか?回答18: ある特定の年について適格個人は、その年についてその個人が連邦所得税申告書を提出するのに関して法令で定められた期限日(但し延長は不可)以前であれば、MSAへ拠出することが出来ます。IRAへの拠出と同様に、暦年申告の納税者にとっては、ある年のMSAへの拠出の期日はその年のために拠出される年の翌年の4月15日が一般に拠出期限日となります。質問19: MSAへの拠出金額が総所得から控除あるいは未計上とする金額を越えてしまった場合はどうなるのでしょうか?回答19: 限度額を超過した拠出部分については、回答13あるいは回答15に説明されている様に控除が出来ませんし、拠出が適格個人ではない個人による場合も控除が出来ません。拠出が雇用者によってなされた場合、あるいは適格個人ではない個人のために拠出がなされた場合は、回答13に説明されている限度額の超過部分をその個人の総所得に含めて計上しなければなりません。更に、個人及び雇用者による超過拠出があった口座名義人に対しては各年6%のエキサイス税が法令により課されます。但し、超過拠出及び超過拠出が生じる元となったネットの所得が、法により定められた口座名義人の税務申告書提出期限日(延長後の期限日も含む)迄の間にその口座名義人へ支払われれば、(1)エキサイス税は適用されず、(2)超過拠出からの分配金も非課税となり、(3)超過拠出が生じる元となったネットの所得は分配金があった年にその口座名義人の総所得の一部として含まれる、ことになります。第4部 MSAからの分配金(distributions)について 質問20: 何時、個人はMSAからの分配金を受け取るのが許されるのでしょうか?回答20: 何時であっても個人はMSAからの分配金を受け取るのが許されています。質問21: MSAからの分配金は如何に課税されるのでしょうか?回答21: MSAからの分配金は、MSAの口座名義人あるいはその家族の医療費支払いに使用されれば、特定の例外がありますが、総所得の一部とする必要はありません。しかし、もし医療費支払い以外の用途に使用されると、総所得の一部としなければなりません。例外のひとつですが、MSAへの拠出があったある年に医療費支払いのためその口座名義人のMSAからの分配金があった場合、その医療費が発生した月にその個人が高額自己負担健康保険にカバーされているのではなかった、あるいはその個人をMSA非適格にさせてしまう保険のカバーがあった(回答4から回答7を参照して下さい)のであれば、その分配金は個人の総所得の一部としなければなりません。総所得の一部となる場合、分配金は一般に15%税率の追加税の対象となります。但し、口座名義人が65歳になった、身体障害者になった、あるいは死亡した以降に総所得の一部となるべき分配がなされた場合は、15%の追加税は適用されません。質問22: 分配金が非課税となるためには如何なる医療費が適格となりますか?回答22: 医療費については歳入法213条に定義付けがなされていますが、ここでの医療費には、長期介護保険以外の保険のための費用、「COBRA」の類いの継続健康保険への支払い保険料、個人が失業手当を受けている間に支払った健康保険保険料、は含まれません。質問23: MSAの受託者・管財人は、MSAからの分配金が医療費に使われたことを決定しなければなりませんか?回答23: MSAの受託者・管財人は、MSAからの分配金が医療費に使われたか否かを決定することを義務付けられていません。MSAを所有している個各人が決定するべきことです。第5部 MSAを使用出来る納税者の人数制限について 質問24: MSAは設けることの出来る数に法的な制限がありますか?回答24: イエス。法令ではMSAを「パイロット・プロジェクト」として認可しています。パイロット・プロジェクトは2000年に終了する予定です。但し、もしMSAへ拠出する納税者(あるいはその雇用者が拠出してくれる納税者)の人数が1997年、1998年、あるいは1999年において法的制限を超過する場合は、2000年以前にMSAの創設は終了されてしまいます。制限を超過しているか否かを決定するにあたって、以前は保険を全く掛けていなかった特定の個人は一般にその人数は計算にいれません。質問25: パイロット・プロジェクトが終了してしまうと、その後はどうなるのでしょうか?回答25: パイロット・プロジェクトが終了した後は、終了前にMSAへ拠出した又はMSAへ拠出してもらった全ての(回答2で説明しました)適格個人は、(あるいはその従業員が以前MSAを利用したことがある雇用者のうち特定の雇用者により雇用されている適格個人は)、適格個人であり続ける限りMSAへの拠出あるいはMSAへ拠出してもらうことを続けられます。更に、回答20から回答22にかけて説明しましたMSAからの分配金を受け取り続けることが出来ます。質問26: MSAの創設が早期に終了する場合、何か特別な期限日が適用されますか?回答26: もし法的限度に達してしまいそれ故(回答24にあります様に)MSAの創設が早期に終了してしてしまう場合は、適格個人であっても、法で明記された「カットオフ日付」(cut-off date)迄に高額自己負担健康保険により保障されていないその個人はMSAを設けることが出来ません。但し、その個人の雇用者が従業員のためカットオフ日付迄に高額自己負担健康保険を用意し、かつその他特定の条件を満たしていれば、その個人はMSAを設けることが出来ます。 小規模雇用者の従業員に関し、法は1997年につき9月1日と10月1日の二つの潜在的カットオフ日付を明記しています。(自営業者に関しては、10月1日と11月1日。)1998年、1999年については、この潜在的カットオフ日付はそれぞれの年の10月1日となっています。但し、雇用者により掛けられる健康保険への加入予定期間が潜在的カットオフ日付とある年の末日の間の期間にある場合は、潜在的カットオフ日付はその年の12月31日に延期されます。質問27: 納税者としてはMSAの創設が早期に終了してしまうか否かをどうすれば分かるのでしょうか?回答27: もし法的限度に達してしまい、それ故(回答24にあります様に)MSAの創設が早期に終了してしてしまう場合は、IRSはその年の10月1日迄にその年に該当するカットオフ日付けを発表します。その発表がある迄はMSAの創設がカットオフされることはありません。第6部 受託者・管財人による報告義務について 質問28: MSAの限度数はどうやって決定されるのでしょうか?回答28: MSAの受託者・管財人は法令により(1997年、1998年、1999年の)各年8月1日迄に、その年の6月30日以前に設立されたMSAの数を[訳者追記:IRSに対し]報告することが義務付けられていますし、各年6月1日迄にその年の4月30日以前に設立されたMSAの数を(その他追加情報と共に)]報告することが義務付けられています。歳入法220条(j)を参照して下さい。IRSではこれらの報告をするために必要な書式フォームを発表する予定にしています。質問29: その他どういう情報報告が義務付けられていますか?回答29: MSAに関し報告が義務付けられている情報は、IRAに関し報告が義務付けられている情報と類似しています。IRSではMSAへの拠出、MSAからの分配金、そしてMSAに伴う控除、を報告するために必要な書式フォームやその説明書を発表する予定にしています。この件に関する更に詳しい情報が必要ならば、(304)263-8700(トールフリーではありません)のInformation Reporting Call Siteへ電話して下さい。第7部 その他の事項について MSAはその他いくつかの法令規則・条項の対象ともなります。その多くはこのノーティスでは触れておりません。ある特定の質問あるいは回答により示唆されている問題点、あるいは特定の質問を盛り込んだ又は排除したことにより示唆されている問題点については、このノーティスで明白に述べられていない限りは類推をしてはなりません。 このノーティスで述べられてはいない法令条項には以下の項目などがあります。*全ての同等なMSA参加従業員のために同等な拠出をすることの雇用者に対する義務付け。 *MSAの資金投資に対する制限。 *MSAのロールオーバー (rollover)に関する規則。*口座名義人が離婚・死亡した場合に適用される特別の規則。 *結婚している個人の間でのMSA拠出に伴う控除額の配分に関する規則。 * (不利な選択も含め)選択、(包括的にカバーされている保険のため個人が支払う保険料への影響も含め)健康のための費用、病気未然防止医療の使用、消費者の選択、MSAなどの口座に関係して購入される高額自己負担保険のカバーする範囲、及びその他の問題点、などに関して小規模グループのマーケットの中でMSAが与える影響について議会が強制している調査研究。 尚、新たな歳入法220条を含め、MSAを統治する法的条項は、1996年健康保険携帯・責任法(Health Insurance Portability and Accountability Act of 1996, Pub. L. No. 104-9191, 110 Stat. 1936)の301条に盛られています。第8部 コメント募集について 新たな歳入法220条に関するコメントを募ります。書面でのコメントは1997年3月16日迄にお願いします。送付書面は CC:DOM:CORP:R (Notice 96-53), Room 5226, Internal Revenue Service, POB 7604, Ben Franklin Station, Washington, DC 20044へ送付して下さい。手渡しの送付の場合は、午前8時から午後5時の間にCC:DOM:CORP:R (Notice 96-53), Courier's Desk, Internal Revenue Service, 1111 Constitution Avenue, NW, Washington, DC へお願いします。納税者は以上とは別に、htpi//www.irs.ustreas.gov/prod/taxregs/comments.html. を住所とするIRSのインターネット・サイトに直接コメントを電子的に提出することが出来ます。 このノーティスの主要執筆者は、Office of Associate Chief Counsel(Employee Benefits and Exempt Organization)のFelix Zechです。このノーティスに関する更なる情報については(202)622-4606(トールフリーではありません)に電話して下さい。注意:この翻訳は星野会計事務所の私訳であり、 IRS公認の翻訳ではありません。レベニュールーリング 97−20問題点 家族を掛けている保険の場合、歳入法220条(c)(2)(A)にある「高額自己負担の健康保険」(a high-deductible health plan)を構成するべき条件は何であろうか?[訳注:日本の保険用語ではhigh-deductibleは「定額控除」と呼ばれているが、自己負担の方が分かり良いと思われるので以下は自己負担とする]事実関係 状況1 プランAは医療費の支払いを提供する健康保険プランである。納税者Xと彼女の家族はプランAに参加している。家族の合計医療費支払いが年$3,000を超過すると、プランAでは家族の構成員全員に対し、カバーされた疾病の医療費支払いがある。家族構成員の誰がカバーされた疾病の医療費を発生させたかには関係なく、カバーされた疾病の医療費の家族での支払い合計が年$3,000に達する迄は、プランAでは支払いが一切ない。プランAはまた各年のアウトオブポケット費用[訳注:全額自己負担の支払いが一定額に達した後、co-insuranceにより暫くの間少額の自己負担が更に続くが、この両方の自己負担合計額を指す]を$5,000で上限としている。状況2 プランBは医療費の支払いを提供する健康保険プランである。納税者Yと彼の家族はプランBに参加している。プランBでは、家族の自己負担支払いが年$3,000を満たした後に、カバーされた疾病の医療費支払いを家族の構成員全員に対して行う。また、プランBは家族構成員の各人について、もしその人が年$1,500の自己負担医療費をカバーされた疾病のために支払ったら、その人のその後のカバーされた疾病の医療費を支払う。プランBはまた各年のアウトオブポケット費用を$5,000で上限としている。[ 訳注:例外を定めている]高額自己負担の健康保険に該当しない定義(歳入法220条(c)(2)(B))には、上記プランAもプランBも適用しない。法 健康保険携帯・責任法(Health Insurance Portability and Accountability Act of 1996、Pub. L. 104-191)により、1997年1月1日に開始するパイロット・プロジェクトの元で医療預金口座(MSA=Medical Savings Accounts)を適格個人が設けられるべく歳入法に新たに220条が付け加えることになった。 歳入法220条(c)(1)にある「適格個人」の定義付けには、適格となる前提条件として当該個人が高額自己負担健康保険により保障されていることとする条件が含まれている。同法220条(c)(2)(A)では、「高額自己負担健康保険」とは(i) 本人のみを保障している保険の場合、年自己負担額が$1,500以下ではなく$2,250以上ではない、(ii) 家族を保障している保険の場合、年自己負担額が$3,000以下ではなく$4,500以上ではない、(iii) 給付が受けられるためのアウトオブポケット支払い費用(保険料支払いは除く)が、(I) 本人のみを保障している場合は$3,000、(II) 家族を保障している場合は$5,500を越えない健康保険を指す、 としています。 同法220条(c)(5)では、家族保障の定義として、本人だけの保障以外のものとしています。分析と結論 状況1 プランAは納税者Xと彼女の家族構成員を保険対象として保障しているので、それ故220条(c)(5)にある家族保障に該当する。プランAは家族を保障していることから、220条(c)(2)(A)(ii)で義務付けられている年自己負担額が$3,000以下ではなく$4,500以上にはならないのであれば、プランAは高額自己負担健康保険と税務上解釈される。プランAは、カバーされている疾病への家族の医療費支払いが年$3,000に達して初めて、カバーされている疾病への医療費支払いを納税者Xと彼女の家族に対して開始することになっている。それ故、プランAの自己負担額は年$3,000となっている。プランAの自己負担額が$3,000以下ではなく$4,500以上ではないことから、プランAは220条(c)(2)(A)(ii)にある高額自己負担健康保険の最低限度、最高限度の自己負担額についての条件を満たしている。プランAにおいて義務付けられているアウトオブポケット費用の年間支払い費用は$5,500以下であり、$5,000を絶対に越えることがないことから、プランAは220条の上での高額自己負担健康保険である。状況2 プランBは納税者Yと彼の家族構成員を保険対象として保障しているので、それ故220条(c)(5)にある家族を保障に該当する。しかし、プランBでは、例えカバーされている疾病のための家族全体による医療費自己負担が$3,000に達していなくても、家族の構成員の誰かがカバーされている疾病のために医療費自己負担として既に$1、500以上を支払ってしまった場合は、納税者Yの家族構成員の誰に対しても医療費の支払いを開始することとしている。例えば、納税者Xがある年にカバーされている疾病のための医療費として$2,000支払ったとすると、プランBは$500を保険として支払うことになる。それ故、カバーされている疾病のためどの家族構成員が医療費を支払うかによって、カバーされている疾病のための家族全体の医療費が$3,000を越えていなくても、プランBの元では保険の恩恵を蒙ることがありうる。プランBは年間自己負担を$3,000以下で家族保障していることから、プランBは220条(c)(2)の上での高額自己負担健康保険とはいえない。結論 220条(c)(2)(B)にある例外を除き、家族を保障している保険の場合、そのプランにある条件に基づき又どの家族構成員が費用を発生させたかに関わらず、(1) カバーされている疾病のための家族による自己負担費用が年$3,000を越えて発生する迄は保険からの支払いが一切なく、(2) カバーされている疾病のための家族による自己負担費用が年$4,500を越えて発生した以降は、カバーされている疾病のための費用は保険から必ず支払われる、更に(3) プランの元で支払いが義務付けられているアウトオブポケット費用が年$5,500を越えない、の3条件を満足した場合のみ、あるプランは220条 (c)(2)(A)にある「高額自己負担健康保険」なのである。7805 条(b)の適用 歳入法7805条(b)は、歳入法に関連したルーリングが過去への波及効果をもたらすことなく適用されるための規則をIRS長官は定めることが出来るとしている。 歳入法7805条(b)に準拠すれば、1997年10月31日以前に実効となる家族を保障する健康保険に同日以前に参加した場合は、その健康保険の個人負担が少なくとも$1,500以上であり$2,250を越えない(本人のみをカバーしている高額自己負担健康保険に許されている適用対象範囲の額)という条件を満足していないからといって、税務上は高額自己負担健康保険ではないと取り扱われることはない。この救済は(更新条項のある健康保険の場合)1997年12月31日以降の最初の更新日迄の期間、あるいは(特定の期間があり更新条項がない健康保険の場合)健康保険の契約期間に適用される。このパラグラフの上で、更新の条項がなく又保険料が支払われる限り何時までも継続する健康保険については、これを更新の条項があるものとして取り扱い、各保険料支払い期日(猶予期間は無視して決定)を更新日として取り扱うものとする。このパラグラフにある救済措置は1997年12月30日以前に無効となることはないし、あるいは1999年1月1日以降にその効力が延長されることありえない。執筆についての情報 このレベニュールーリングの主要執筆者は、Office of Associate Chief Counsel(Employee Benefits and Exempt Organization)のFelix Zechです。このレベニュールーリングに関する更なる情報については(202)622-4606(トールフリーではありません)に電話して下さい。注意:この翻訳は星野会計事務所の私訳であり、 IRS公認の翻訳ではありません。
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Copyright © 1998 Shoji Hoshino, CPA
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