2009年度:想定Q&A
貸家損失は条件に叶っていれば他の所得を相殺できる
Q氏 そうすると、例えば私に賃貸損失や株の売却損があったら給与などの他の所得を相殺できますか? もし出来れば節税になると思うんですが。
A氏 条件に叶っていれば相殺できるのですが、そう甘くはありません。
賃貸に伴う損益は税務の上で受動的(passive)損益と呼ばれ、原則としてその損は他の勤労所得などとの相殺には許されていません。
しかし貸「家」の賃貸損についてだけは例外規定があり、もし10%以上の所有権を持った家主として賃貸に「積極的に関わって」いる(active participation)のであれば、最高2万5千ドル迄の賃貸損は他の所得との相殺が許されています。
但し、これも賃貸損を含めないで仮に計算した調整AGI(MAGI、Modified AGI)が10万ドルを越えると段々削減され始め、MAGIが15万ドルを越えると全く相殺が出来なくなります。
夫婦個別申告の人は、相殺できる損の最高額が1万2千5百ドルに半減し、削減され始めるAGI枠も5万ドルから始まり、7万5千ドルを超えると全く相殺ができなくなります。
Q氏 私の場合日本にある持ち家は余り良い条件で貸すことが出来なかったので、金利を含めた経費の方が収入を上回ってしまい損をしています。
不動産屋に管理をまかせていますが、積極的といえますか?
A氏 不動産屋に管理をまかせているからといって、積極的でないことにはなりません。
まかせっきりではなく、店子の選択、家賃契約の条件設定、経費の見直しなどに関与していれば大丈夫の筈です。
Q氏 さっきお話しにあった制限によってもし損失が全額相殺に使えなかった場合、その使えなかった部分は一体どうなりますか?
A氏 鋭い質問ですね。
相殺できなかった損失は消えてしまうのではなく棚上げされて将来に持ち越され、将来他の受動的益が出たら相殺するか、あるいは将来にMAGIが少ない年があればその年の他の所得を相殺するのに使えます。
更にそれでも残った繰越賃貸損があれば、その物件を売却した場合に発生する売却益を相殺するのに使えますから、とても大事です。
それから、もし日本にある貸家がもともと赴任前は自分の主たる住居であり、帰国後もまた主たる住居として使う意図であれば、例え今は賃貸していてもそれは暫定的なものであるので「適格住居」(Qualified Residence)である、と主張する立場も取れます。
この立場を取ると住宅ローンの支払い利息を賃貸損益の計算に含めるのでなく、後程ご説明する個別控除項目の一つである「住宅モーゲッジ支払い利息」として計上することができ、先程からのMAGIによる制限を外せる場合があります。
